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2015.01.06


「集団予防接種によるB型肝炎感染拡大の真相究明・再発防止を考えるシンポジウム」に参加しました

 平成26年12月21日(日)13時30分から16時まで、東京にて「集団予防接種によるB型肝炎感染拡大の真相究明・再発防止を考えるシンポジウム」が開催されました。東北原告団・弁護団からは原告3名、弁護士2名の計5名が参加しました。その内容を簡単にお知らせします。

第1部 各種報告

 報告「最高裁判決の到達点と課題」

 シンポの第一部は各種報告でした。まず、広島弁護団の青木弁護士が、「最高裁判決の到達点と課題」と題して平成18年の最高裁判決に至るまでのB型肝炎訴訟の争点と到達点、今後の課題などを講義しました。

 講義によれば、国は、訴訟において集団予防接種で注射器使い回しの感染リスクは予想できなかった、予想できたとしても効率性・経済性から使い回しはやむを得なかった等、主張して責任を争いました。裁判所は、感染リスクは早い時期から知られていた・経済性・効率性は使い回しの理由にならない等の理由から判決で国の責任を認めました。

 ただ、判決でも、注射器使い回しによる感染リスクは知られていたのに国はなぜ早期に防止措置を取らなかったのか?厚労省内部で防止措置に関する意見や議論はなかったのか?という点はわからず、今後の課題とされたとのことです。

 報告「検証会議でわかったこと」

 次に、大阪弁護団の野澤弁護士が、集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大に関する政府の検証会議で判明したことについて、講義しました。

 講義によれば、検証会議では次のように結論づけています。要約すると「当時の医学論文や国自身の通達から、注射器使い回しが危険であることは相当早い時期に明らかになっていた。それにもかかわらず、使い回しが昭和63年まで是正されなかった原因は、使い回しが危険だという情報が行政内部でうまく共有されなかったことにある」ということです。

 検証会議では、長く使い回しが是正されなかった原因を情報共有不足に求めていますが、裁判での国の主張をみると、国は経済性・効率性重視のため使い回しによる危険を放置したという可能性もあるとのことでした。

第2部「真相究明・再発防止の過去・現在・未来」

 続いて、検証会議構成員を含む原告と弁護士で真相究明・再発防止について対談が行われました。検証会議では、原告・弁護士が協力して会議の委員に対し個別に説明を行い、また意見書を提出するなど、より良い真相究明・再発防止の提言がされるよう努力したとのことです。また、 検証会議では被害実態アンケートを実施したが、アンケートの自由記載欄に肝炎患者の過酷な現状が多く書かれており、これを読んだ委員は強く心を揺さぶられたようであったとのことです。

 再発防止という点では、注射器使い回しによる予防接種禍を教科書に載せて今後の教訓とすることが考えられること、また原告団・弁護団が今後も国を監視し意見を言い続けることが大切であることが確認されました。

参加してみて

 大変な盛況で180名の会議室がほぼ満員になるほどでした。基本合意前の流れや真相究明分野の現在の進捗を改めて確認することができ、大変有意義なシンポジウムでした。このシンポジウムを参考に今後も恒久対策活動を頑張ります。

(文責:B型肝炎被害対策東北弁護団 弁護士 浅沼 賢広)

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